放課後等デイサービスの療育プログラムに、運動療育を取り入れている事業所も多くあると思いますが、広さや器具など、制限のあるなかでどのような楽しいプログラムができるかと頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
勉強や、学校の体育は苦手でも、放課後等デイサービスでの運動プログラムは喜んで参加する子どもも多いようです。運動療育のねらいと具体的なプログラムについてご紹介します。
発達障害と運動療育
運動療育は、発達に課題を抱える子どもたちの心身の成長を促進するためにとても大切です。まずは、発達障害と運動療育の関係性についてみていきましょう。
1. 運動機能の改善
発達障害(自閉スペクトラム症、ADHD、学習障害など)を持つ子どもは、運動機能にも偏りが見られることが少なくありません。
- バランス感覚が弱い
- 手先・身体の使い方がうまくいかない
- 姿勢保持が難しい
- 運動への苦手意識
これらは学校生活や日常生活において劣等感を感じてしまうなど支障をきたすことがあります。運動療育は、その偏りを補い、身体の感覚統合を高める役割を果たします。
2. 感覚統合に対する効果
感覚統合とは、「視覚・聴覚・触覚・固有感覚・前庭感覚」などの身体の感覚を脳が整理・統合し、適切な行動に結びつける働きです。発達に課題がある子どもはこの感覚統合に難しさがある場合があります。
- 音や触感への過敏・鈍感
- 集中力が続かない
- 空間認知の困難
運動療育は、遊びや体操、運動プログラムを通して感覚統合を促すため、こうした困難への対処に効果があります。
3. 自己肯定感・成功体験の向上
発達障害を持つ子どもは、学校や社会において「できない」体験が重なり、自己肯定感が低下しやすい傾向にあります。
放課後等デイサービスでの運動療育では、学校のように同じ内容を全員で行う、全員が同じレベルを求められるものとは違い、個々のレベルに合わせたプログラムにより、「できた!」という達成感を得られるように支援します。これにより、本人の意欲や自信の回復にもつながります。
4. 社会性・コミュニケーション力の育成
発達障害を持つ子どもは、社会性、コミュニケーションに課題を抱えている場合も多いです。運動療育は「一緒に運動する」ことで、自然と他者との関わりが生まれます。
- 順番を待つ
- 相手の動きを見る
- ルールを守る
などの経験を通じて、集団行動に必要な社会性やコミュニケーション能力が育まれることも大きな利点です。
5. 日常生活動作(ADL)の向上
運動療育を行い、体幹や手指の協調運動を育てることで、日常生活に直結する動作の改善も期待できます。
- 自転車・歩行
- 着替え
- 食事(箸やスプーンの操作)
- 階段の上り下り
放課後等デイサービスで楽しい運動療育
では、場所や器具などの制限があってもでき、子どもたちが楽しめる運動療育プログラムをいくつかご紹介します。
サーキット遊び
内容:跳び箱 → マットで前転 → 平均台 → 的当て など、複数の動きを組み合わせた運動コース。
ねらい:全身運動・体幹強化・空間認知・順番を守る練習・感覚統合(前庭感覚・固有感覚)
跳び箱がなければ、マットを重ねる、モノを詰めた段ボールなどでも代用できます。平均台の代わりには、床にテープを貼り、その上を歩いたり、紐を床に置いてその上を歩くというのでもいいですね。
バルーン遊び(パラバルーン)
内容:布を使って風船のように膨らませたり、中に入って遊んだりする。
ねらい:集団行動・タイミングを合わせる力・視覚・触覚への刺激・協調性・他者意識の促進
フラフープ遊び
内容:フラフープを転がし、タイミングよく輪の中をくぐる。
ねらい:距離感の把握・判断力・柔軟性・敏捷性
タイミングを合わせてくぐるのはなかなか難しく、盛り上がりますよ。
風船バレー・風船リレー
内容:風船を使って相手とパスしたり、運んだりする。
ねらい:手先・目の協応(視覚と運動の連携)距離感・力加減の調整・他者と関わる経験
風船を落とさないよう人と協力することで協調性が育まれます。
ボールなげ・ボールを打つ
内容:バケツなどにボールを投げ入れる、的に当てる、投げられたボールを打つなど
ねらい:距離感覚・力加減・空間認知能力・集中力
時間をはかっていくつ入れられるか、玉入れのようにしたり、キャッチボールや投げられたボールを打ち返すなど、棒とボールがあればいろいろな遊びができます。
ボールが小さいほうが難易度が高いので、大きいものからだんだん小さくしていって難易度を上げていくのもいいでしょう。
子どもに合ったレベルで楽しいプログラムを
放課後等デイサービスで実施する運動療育は、子どもひとりひとりに寄り添ったプログラムを組むことで、自己肯定感を高め、心身の成長を図ることができます。
失敗が続く子どもに同じものを無理やり頑張らせるのではなく、クリアしやすい工夫をしたり、別のプログラムに変えるなど、失敗を繰り返しすぎないようにすることが大切です。
また、できることをしっかりと褒め、運動が楽しい、喜んで参加する環境を作るということも意識しましょう。
運動療育は、「楽しいだけ」でも、「トレーニングだけ」でも不十分です。子ども一人ひとりに合わせた運動を、「遊びのように楽しく」提供することで、継続的な成長につながります。
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